Web Services Description Language (WSDL) 2.0 の公開について (W3C 勧告)

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WS-I Basic Profile に基づく改良に加え、Web アプリケーション向けに HTTP 及び SOAP 両通信プロトコルに完全対応した、Web サービス基盤標準 WSDL 2.0

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http://www.w3.org/ — 2007年6月27日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、Web の基本通信プロトコル HTTP に加え、Web サービス通信プロトコルとして最も広範に実装されている SOAP にも完全対応した Web サービス記述言語 Web Services Description Language (WSDL) 2.0 の策定作業を完了し、W3C 勧告として公開いたしました。WSDL 2.0 では、HTTP 及び SOAP 両通信プロトコルへの完全対応の他、WS-I Basic Profile において WSDL 1.1 に対して加えられた改善点を盛り込むとともに、エラーや障害記述能力の向上、継承及びインポート機能の追加がそれぞれ行われています。Web Services Description 作業部会自らが1週間耐久プログラミング・マラソンを実施するなど、厳密な実装試験と相互運用検証を通じ、WSDL 2.0 は、WSDL 1.1 開発当初の目的を実現する堅実かつ相互運用可能な標準仕様として策定され、今日の Web アプリケーション開発者らの要求に適うものとなっています。

W3C の Web Services Description 作業部会共同議長の他、WSO2 の Mashup Technologies 担当理事を務める Jonathan Marsh 氏は次のように説明しています。「策定には大変な時間を要したのも事実です。しかし、開発者の皆様はこの仕様が十分に待つだけの価値あるものであることを理解していました。厳密な相互運用性検証に加え、SOAP 通信プロトコルスタックにおいて、WS-AddressingWS-Security、WS-ReliableMessaging などの高度な機能を利用しない場合には、Web 上でのサービス利用において Web との親和性が高く簡潔な HTTP を開発者らが利用できるようになったことを、大変嬉しく思っています。」

厳格な相互運用性の確保を皮切りに、変換ツールや策定の進む様々な Web 標準への採用という形で結実した、WSDL 2.0 の策定

SOAP 1.1 及び WSDL 1.1 に注がれた多大なる関心をもって、Web Services 開発の幕が切って落とされました。当時、標準化されていない技術に基づくアプリケーション開発へと移行する開発者らも数多く見受けられましたが、標準化されていない仕様では、開発当初からの相互運用性に対する期待には到底応えられるものではありませんでした。実際 WS-I は、標準化されていない Web Services 技術仕様に基づくプロファイル群の策定を目的に結成されたという経緯もありました。

このような状況にもかかわらず、W3C 会員組織は W3C に対し、相互運用可能な WSDL 標準仕様の策定を強く要請しました。本仕様の策定に携わった作業部会自らによる相当数の継続的な問題追求や、WS-I の Basic Profile 作業部会との連携を通じ、当初からの改善点を把握しつつ、標準化されていない技術仕様を叩き台として、SOAP 1.2 及び WSDL 2.0 両仕様の策定が可能であるとの結論に達しました。

WS-I Basic Profile に準拠した実装を行っている場合でも、WSDL 2.0 への変換ツールを用いることで、新標準へ準拠するよう容易に変換でき、新機能を利用できるようになります。

加えて、2007年9月の策定完了を目指す Semantic Annotations for WSDL (SAWSDL)WS-Policy 1.5 両仕様をはじめとする、今後策定が進む様々な Web サービス基盤標準でも WSDL 2.0 への対応をうたっています。

HTTP と SOAP のどちらの Web Services アプリケーション開発モデルも選べる WSDL 2.0

SOAP over HTTP 開発モデルの他、REST 開発モデルの普及に伴い、本仕様の策定に携わった作業部会では、Web アプリケーション記述における HTTP への完全対応に対する要望をはっきりと認識していました。WSDL 2.0 ではそのため、簡潔な Web アプリケーションだけでなく、様々な付加機能を必要とする Web Services アプリケーションでも効果的に利用できるよう、HTTP 及び SOAP に完全対応しています。

業界最大手による仕様策定と実装により、広範な採用が期待される WSDL 2.0

WSO2 の Jonathan Marsh 氏と CA の Tony Rogers 氏が共同議長を務める W3C の Web Services Description 作業部会では、アプリケーション開発分野における業界最大手が多数参加しており、その恩恵を享受しています。本作業部会には現在、Adobe Systems Inc.、Agfa-Gevaert N. V.BEA Systems, Inc.BTCA、キヤノン株式会社、IBM、インスブルック大学、IONA Technologies, Inc.、メリーランド大学 情報ネットワークダイナミクス研究所 (MIND)、Microsoft Corporation、Oracle Corporation、Rogue Wave Software、SAP AG、Sonic Software、Sun Microsystems, Inc.TIBCO Software, Inc.、WSO2、Xerox Corporation の各 W3C 会員組織が参加しています。

また、Adobe Systems Inc.CAIBM、Sun Microsystems, Inc.、webMethods、WSO2 をはじめ、多くの企業が次期製品公開にあわせ、WSDL 2.0 への対応予定を表明しています。対応予定と実装計画の詳細については、推薦状一覧をご覧下さい。

World Wide Web Consortium [W3C] について

World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が一丸となって Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C 事務局を世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご覧下さい。

本件お問合せ先:
日本、アジア (慶應義塾大学 SFC 研究所) — 平川 泰之, <chibao@w3.org>, +81-466-49-1170
ヨーロッパ、アフリカ、中東 (ERCIM) — Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33 492 38 75 94 または +33 676 86 33 41
アメリカ、オーストラリア、その他 (MIT CSAIL) — Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613

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