音声合成への対応を世界中の自然言語へと拡大
音声合成記述言語 SSML 1.1 草案の公開にあわせ、W3C 国際公開研究会をインドにて開催
http://www.w3.org/ — 2007年1月10日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、中国 北京、及び、ギリシア ヘラクリオンにおいて開催された W3C 国際公開研究会 (W3C ワークショップ) を通じて寄せられた重要な機能やご意見を盛り込んだ音声合成記述言語 SSML 1.1 公開草案初版を公開し、Web 上の音声対応アプリケーションにおける世界中の自然言語への対応拡大に向けた活動を本格的に開始します。今月13-14日には本件に関する3回目の W3C 国際公開研究会を、Bhrigus Software 及び情報技術国際研究所 (IIIT) との共催で、インド ハイデラバードにて開催します。本研究会では、Web 上での音声対応アプリケーションを実現する仕様群である、W3C 音声入出力機構を構成する SSML に対するより専門的な検討や提言が期待されます。
様々な自然言語において増加の一途をたどる Web 上の音声対応アプリケーション
今後3年以内に、とりわけ、中国語圏やインド語圏における Web コンテンツの著しい増加が見込まれています。これらの言語圏の多くの地域では、デスクトップコンピュータからよりも安価な携帯電話からの方が、Web が利用しやすい状況にあります。世界中には現在、インターネットに接続されたパソコンの10倍を優に超える台数の携帯電話が普及しています。SSML の機能強化とともに、地球上のほぼ隅々にまで情報通信範囲が拡大することで、携帯電話やデスクトップコンピュータなどの機器を通じ、世界中の人々が合成された音声を利用できるようになるでしょう。
多様な音声言語への対応を統合する SSML 1.1
SSML 1.1 では、W3C の SSML 1.0 勧告を改良し、世界中の自然言語における様々な規定や慣例に対応します。新たな機能により、例えば、日本語や中国語、タイ語など、単語境界に空白が用いられない言語において、単語境界の曖昧さを排除できるようになります。SSML 1.1 ではまた、言語固有の発音記号も参照できるようになります。これにより、コンテンツ制作者が指定した発話音と実際に話される言語との関係が明示できるようになります。語彙や発話例に基づく音声合成に加え、よりきめ細かな発話制御も実現します。
SSML 1.1 ではこの他、音声入出力機構を構成する既存あるいは今後策定が進む仕様群との相互運用性の向上も図られています。
インド語族、アラビア語、ヘブライ語を重点的に取り上げる、ハイデラバード開催の W3C 国際公開研究会
音声合成記述言語の国際化に関する第3回 W3C 国際公開研究会では、インド語族に属するテルグー語、ヒンディー語、ベンガル語、パンジャブ語、グジャラート語、ウルドゥー語の他、アラビア語やヘブライ語を始めとする英語以外の様々な言語の音声合成における SSML の利用改善に向け、SSML の機能拡張や機能追加に対する要件の洗い出しと重要度を把握すべく、インド、パキスタンを中心に専門家らが一堂に会します。新たな要件や利用実態、解決すべき問題点の把握が本研究会の最優先事項となります。本研究会の成果は W3C 音声ブラウザ作業部会において、SSML 1.1 ないしその後継仕様に新たに盛り込めるかどうか検討されます。
World Wide Web Consortium [W3C] について
World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が一丸となって Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C オフィスを世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご参照下さい。
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