W3C インキュベータアクティビティの設置について

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W3C において萌芽的な Web 技術開発に対する探求的な取組みが可能に

 

http://www.w3.org/ — 2006年2月8日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、既存の勧告策定手続き (Recommendation Track) を補完し、萌芽的な Web 関連技術の開発促進を目的とした新たな枠組みとなるインキュベータアクティビティ (Incubator Activity) を設置いたします。W3C 会員組織及び Web コミュニティは、本アクティビティが提供する簡素化された新しい手続きに基づき、標準化の対象となり得るかどうかは未知数でも検討の余地が残る興味深い見解について、議論を展開できるようになります。

W3C 最高執行責任者 (CEO) を務める Steve Bratt は次のように述べています。「インキュベータアクティビティが設置されることで、W3C 会員組織や招聘専門家らは、W3C の類稀な技術リソースを活用した Web 技術の探求が可能となるだけでなく、これからどのような技術が出現するのかを把握できるようになります。これから羽ばたこうとする技術が孵卵器で温められるが如く、既に複数の提案が寄せられています。」

W3C 初のインキュベータグループ (Incubator Group) では「コンテンツラベル (Content Label)」について取り組みます。@semantics、Internet Content Rating Association (ICRA)、ギリシャ国立科学研究センター情報通信研究所 (IIT NCSR)、英国ブリストル大学 学習研究技術研究所 (ILRT)、Segala、T-Online、Vodafone、Yahoo! の各 W3C 会員組織が本グループへの賛同を表明しています。

萌芽的技術への取組みに対する新たな手段を提供する W3C

W3C勧告策定手続きでは、Web 基盤技術に不可欠な技術標準の策定において、各段階毎に策定経過を保持するよう規定されています。本勧告策定手続きにより、W3C 会員組織、W3C スタッフ、そして一般の皆様による合意を反映した高品質な標準の策定が促進されます。勧告策定手続きでは、コミュニティ間での調整、相互運用試験、包括的なレビューが重視されます。

Web コミュニティではまた、W3C 内で萌芽的な Web 技術開発に対する探求的な取組みを行う手段も模索していました。インキュベータアクティビティは、中核的な Web アーキテクチャに対し、将来的に貢献するか否かが不明な萌芽的な発想の展開や、従来からアプリケーション層の一部と考えられている技術開発などを目的としています。この簡素化された新しい手続きにより、ある特定の技術に関心を抱く W3C 会員組織や招聘専門家らで構成される幾つかのグループは、インキュベータグループ (XG) を設置して新たな活動を迅速に開始、推進することが可能となります。XG での活動が完了した際には「インキュベータグループレポート (XGR)」が最終報告として公開されます。インキュベータアクティビティではまた、活動成果を元に標準化を推進する機運が高まった場合には、当該の活動を W3C 勧告策定手続きに則った標準化活動に容易に移行できるようになっています。

コンテンツラベルについて調査検討する W3C 初の XG

W3C コンテンツラベル XG の活動目的は、「リソースまたはリソース群について幾つもの記述を行う方法と、信頼性確保のためにそれらの記述を含むラベルの自動検証が可能な何らかの方法の探求」と XG 綱領 (charter) に明記されています。

ICRA の最高技術責任者 (Chief technical officer) を務める Phil Archer 氏は次のように説明しています。「本 XG では、コンテンツ提供者がコンテンツの特性を記したデータを容易に公開できるよう、活動を進めます。これにより、何らかの方法でそれらのデータを検証している検索エンジンや、情報集約サイトないしソフトウェア (aggregator) などのシステムが、提供するコンテンツを利用者毎に最適化できるようになります。携帯機器への適合性、アクセシビリティ指針への準拠度、適合認定、学術研究との関連性、加えて ICRA が関心を寄せる児童向けコンテンツ、などにおける利用事例について調査を行います。」

なお、本 XG では1年以内に活動成果の公開を予定しています。

World Wide Web Consortium [W3C] について

World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が協働して Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 近い組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C オフィスを世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

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