DOM Level 3 の公開について (W3C 勧告)
XML や Web サービスアプリケーションに対する基盤を拡張する DOM Level 3
http://www.w3.org/ — 2004年4月7日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、Web の可能性を最大限に引き出すべく、Document Object Model (DOM) Level 3 Core 及び同 Load and Save 仕様を W3C 勧告として公開いたしました。これらの仕様は、文書やデータを Java や ECMAScript のようなプログラミング言語を用いて取り扱うための標準 API (Application Programming Interface) に対し、業界を跨ぐ合意が得られたことを示しています。W3C 勧告であるということは、安定した仕様であり、Web の相互運用性の確保に貢献し、W3C 会員組織によって検討され、業界による仕様の採用が支持されたことを示しています。
DOM アプリケーション開発者に最新の XML 技術を提供する DOM Level 3
W3C の DOM ワーキンググループによって開発、策定された DOM Level 3 Core は、W3C 勧告である DOM Level 1 によって最初に示され、同じく W3C 勧告である DOM Level 2 によって拡張された、文書の内容や構造、あるいはスタイルへのアクセスや動的な更新を可能にする、プラットフォーム及び言語に依存しないインタフェースをさらに拡張するものです。DOM Level 3 は、名前空間や XML Base、XML Schema データ型も含む、XML 文書やデータを表現する標準的なオブジェクト群を提供します。
DOM Level 2 は HTML 4.01 や XML 1.0 及び Namespaces in XML に適合するよう設計されました。DOM Level 3 ではさらに XML 1.1 に対応し、XML Schema 1.0 や SOAP 1.2 といった他の W3C 勧告でも利用されている XML Information Set と連携するなど、XML ソフトウェア基盤をより効果的に利用できるようになります。
XML ソフトウェア基盤への対応を進め、Web サービスアプリケーションを拡張する DOM Level 3
DOM Level 3 は XML 名前空間やスキーマの型情報にも対応しました。また他の主要な XML アプリケーションだけでなく、Web サービスアプリケーションに対しても極めて重要な機能を提供します。
DOM Level 3 を用いることで DOM 実装の読み込みが容易になるとともに、アプリケーションはそれぞれの要求に従ってそれらを読み込むことができます。例えば、Web サイト上で Web サービスを実現しようとする場合、サービス自体は WSDL で記述されるので WSDL プロセッサを利用する必要がありますが、DOM Level 3 の XML 名前空間対応機能を利用することで、プロセッサによる WSDL 記述の利用、操作を容易にします。
DOM モジュールには、新たに DOM アプリケーションが DOM API へのアクセスを提供する DOM 実装を見つけて読み込めるようにする bootstrapping と呼ばれる機能が追加されました。これは XHTML や SVG、CSS あるいは XML Events といった個々のニーズに合わせた DOM 実装を呼び出せるようにします。これにより、開発者は SVG プラグインが組み込めるブラウザのような、複数の XML アプリケーション毎の DOM 実装が混在するシステムを容易に取り扱えるようになります。ブラウザ、プラグインの双方ともが DOM に対応していたとしても、ブラウザは HTML や XHTML にのみ対応し、一方の SVG プラグインは SVG にのみ対応するというように、個々の言語にしか対応していません。DOM 開発者は個々の DOM 実装にそれぞれアクセスしたいと考えていましたが、bootstrapping 機能により、これが実現します。
DOM Level 3 は XML 文書からテキスト内容のみを抜き出したり、DOM ノードに個々のアプリケーション向けの情報を付加するなど、一般的に利用可能で便利な機能を追加することで、Web 開発者の日々の開発作業を簡略化できるよう最適化されました。これはユーザデータシステムと呼ばれ、開発者は将来的な利用目的で DOM ノードに連想記憶方式で情報を関連づけることが可能になります。ある文書に XML 形式でない情報を注釈として付与したい場合も、このユーザデータシステムが利用できます。
XML 文書の読み込みと書き出しにも対応した DOM Level 3
DOM Level 3 Load and Save 勧告を用いることで、プラットフォーム及び言語に依存しない方法で XML 文書やデータの読み込みや書き出しが可能となります。また Web アプリケーション向けの簡潔かつ高度なフィルタ機構も提供されます。さらに完全な XML 文書だけでなく、XML 文書の一部である XML 断片と、DOM 木構造との間での読み込みや書き出しも可能です。DOM Level 3 Load and Save を用いることで、文書全体の代わりに特定の断片を読み込む時にもフィルタを利用することができますし、必要としている断片データのみだけを対象にすることもできます。
勧告化に合わせ DOM テストスィートも更新
新たに Level 3 Core、Level 3 Load and Save、Level 3 Validation 勧告に適合したテストだけでなく、Level 1 Core、Level 2 Core、Level 2 HTML に適合した既存のテストを全て含む、更新版の DOM 適合性テストスィートも利用できます。
業界リーダーらによる策定作業が成功裏に完了した DOM Level 3
Core、Load and Save、Validation の3つの DOM Level 3 仕様が成功裏に勧告化されたことを受け、DOM の策定作業は完了しました。1997年の DOM アクティビティの開始以来、AOL、Apple Computer、Arbortext、IBM、Lucent、Macromedia、Merrill Lynch、Microsoft、NIST、Novell、Object Management Group、Oracle、SoftQuad, Inc.、Software AG、Sun Microsystems、Web3D Consortium、X-Hive Corporation を含む、20を超える組織や招聘専門家らが10にも及ぶ DOM 標準の段階的な策定に貢献しました。
World Wide Web Consortium [W3C] について
W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。W3C は、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL)、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。現在までに、400近い組織がコンソーシアムの会員となっています。詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。
- お問い合わせ先 (アメリカ、オーストラリア) —
- Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613
- お問い合わせ先 (ヨーロッパ、アフリカ、中東) —
- Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33.492.38.75.94
- お問い合わせ先 (アジア) —
- 平川 泰之, <chibao@w3.org>, +81.466.49.1170