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READY FOR THE TRANSFORMATION
World
Wide Web Consortium http://www.w3.org/
慶應義塾大学 SFC研究所 W3C Tel: 0466-49-1170
〒252-0882 神奈川県藤沢市遠藤5322 Fax: 0466-49-1171
mailto: keio-contact@w3.org
●W3Cとは
W3Cは、Web技術の標準化と推進を目的とした、会員制の国際的な産学官共同コンソーシアムです。アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所(MIT CSAIL)、欧州19カ国の各代表研究機関で構成されるフランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム(ERCIM)、および日本の慶應義塾大学がホスト期間として共同運営しています。コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者の為のWorld Wide Webに関する豊富な情報、新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。現在までに300を超える組織がコンソーシアムの会員として参加しており、日本からはこのうち約30組織が参加しています。
●W3Cの設立と役割
1994年10月、Webの発明者であるTim Berners-Leeは、Web発祥の地である欧州共同原子核研究機関(CERN)の協力と、アメリカ合衆国国防総省高等研究計画局(DARPA)、欧州委員会(EC)の援助を得て、MIT CSAILの前進であるマサチューセッツ工科大学計算機科学研究所(MIT/LCS)にW3Cを設立しました。当時、Webアーキテクチャは分裂する危険性を孕んでおり、競争関係にある関係者同士による議論や研究開発を促し、Webの発展と相互運用制を確保する共通のプロトコルの開発によって、Webの可能性を最大限に導きだす事が求められました。翌年の1995年3月にはERCIMの設立期間でもあるフランス国立情報処理自動化研究所(INRIA)が、1996年9月には慶應義塾大学がそれぞれW3Cを運営するホストとして参加しました。2003年1月にはINRIAからERCIMへ、同年7月にはMITにおけるLCSと人工知能研究所の統合に伴い、MIT/LCSからMIT CSAILへとそれぞれ運営ホストが引き継がれています。2004年10月には設立10周年を迎え、同年12月にはアメリカ合衆国ボストンにて設立10周年記念祝賀式典W3C10が、2005年6月にはフランスSophia-AntipolisにてW3C10 Europeが、2006年11月には東京においてW3C10 Asiaがそれぞれ挙行されました。
W3Cは、技術仕様や指針を勧告(Recommendation)として策定、標準化する事を主な活動としています。業界標準して幅広く普及するXMLやXML Schema、Webページ技術言語HTML / XHTML、CSSスタイルシート、2次元ベクタ画像形式SVG、同期マルチメディア記述言語SMILなど、Webの核となる多くの技術はW3Cによって策定、標準化されました。またW3Cは、
Webは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、言語、文化、場所等の違いや、身体的、精神的能力にかかわらず、すべての人に提供されるべきものである
という命題を掲げ、ユニバーサルアクセスの実現に努めています。様々な言語でのWebアクセスを実現するWebの国際化(I18N)、ハードウェアに依存しないWebアクセスを実現するDevice Independence (DI)、音声を含む様々な入出力聞きに対応し、Webユーザインターフェースを拡張するMultimodal Interaction、更には障害を持つ人を含むすべての人が使いやすいWebを実現するSemantic Webの基盤技術や、SOAPやWSDLといったWeb Servicesの基盤技術、或いは複数のマークアップ言語の混在を可能にするCompound Document Formatsといった先端技術仕様の策定だけでなく、Web上での個人情報の取り扱い、更には技術仕様策定に絡む特許問題を取り扱う特許方針(Patent
Policy)など、Webを取り巻く多岐にわたる活動に積極的に取り組んでいます。
●W3Cの組織構成
W3Cは、その運営を担うMIT CSAIL、ERCIM、慶應義塾大学のいずれかのホストに所属するW3Cスタッフと、組織単位での参加となるW3C会員から構成されます。
W3Cスタッフは、W3Cで行われている技術的な作業を主導、監督する多くの専門家と、運営に携わる事務やシステム管理を担当するスタッフから構成されます。現在世界中で約70名がW3Cスタッフとして勤務しており、多くの技術スタッフが所属しているという点で、W3Cは標準化団体の中でも稀な存在です。
一方、W3C会員はW3Cに参加している組織を指し、Webに関する技術開発や普及活動などを行っています。W3C会員には、コンピュータ産業やインターネット産業、情報産業をリードする主要な企業が多数含まれるだけでなく、世界有数の研究機関や大学、先進各国の政府関係機関、NPOやユーザ団体など、多様な組織が世界各国から参加しています。
W3C会員には次のような特典があります。
・ 技術仕様の策定や新たな技術提案が行える作業部会や研究会などへの参加
・ 会員専用のWebページやメーリングリストを通じた仕様案などの最新情報の入手
・ 研究員の派遣を含む人的、技術的な交流(W3C訪問研究員プログラム)
・ W3Cの活動に対する戦略的な方向付け
・ W3Cを通じた広報活動や、W3C会員同士の連携を活用した、様々なビジネス上の相乗効果
さらにW3Cでは、Webに関する技術開発とW3Cへの国際的な参画を促進する為に、多くの国や地域にW3C事務局を開設しています。W3C事務局は、各国各地域における連絡先としての機能を果たすだけでなく、それぞれの国や地域のWebコミュニティと強調し、現地語によるW3C技術の普及活動を積極的に展開しています。
W3C事務局は欧州を中心に、イギリス&アイルランド、イスラエル、イタリア、インド、オーストラリア、韓国、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、中国、ドイツ、オーストリア、南部アフリカ、ハンガリー、フィンランド、ブラジル、ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)、モロッコ、セネガル、ロシアの計20の国と地域に開設されています。
●W3Cの運営体制
W3Cでは技術と運営の双方にそれぞれ責任者を置き、均衡のとれた運営体制を確保しています。
W3Cの技術全体を統括する技術統括責任者(Director)には、Webの発明者であるTim Bernars-Leeが就任しています。運営全体は議長(Chair)の役割も担う最高執行責任者(Chief Executive Officer
(CEO))によって統括されます。これらの役職はすべてW3Cスタッフが務めます。
W3Cでは会員も運営に参加します。W3Cの運営顧問の役割を果たすAdvisory Board (AB)と呼ばれる運営理事会と、Web技術全体に関わる技術仕様に関与する技術顧問の役割を果たすTechnical Architecture Group (TAG)と呼ばれる技術諮問委員会がこれにあたります。これらの委員は、原則的にABについては9名、TAGについては8名がそれぞれW3C委員から選出され、ベンダ中立な参加が求められます。任期はどちらも2年間です。また、各会員組織の代表であるAdvisory Committee Representative (AC Rep)が参加するW3C会員総会(AC Meeting)は年に2回行われ、W3C全体の運営について議論されます。この内の1回は、各会員組織の技術者や専門家らが参加し、W3C技術全般について議論するW3C年次技術者総会(Technical Plenary)とともに開催されます。
●W3Cの活動体制
W3Cでは、具体的な技術仕様や指針の策定は部会単位で行われます。これを作業部会(Working Group, WG)と呼び、主にW3C会員からの参加者と、W3C技術スタッフによって構成されます。通常、WG議長はW3C会員参加者から選ばれ、W3C技術スタッフは担当責任者として議長を補佐します。また必要な場合は、会員、スタッフ以外の専門家を招聘専門家(invited expert)として迎える事もあります。
各WGは次の4つの領域 (Domain) のいずれかに所属し、WG設置趣意書がその活動方針を明確に規定します。
Interaction Domain – Web上の情報に対する新しいアクセス手法の探究
HTML5 / HTML / CSS / SVG /
MathML / Web APIs. / DOM / URL / IRI / ITS / Character Model /
WOFF / Web Audio API / Touch Events / Web
Performance / Graphics / Hypertext Coordination
/ Internationalization / I18n / Rich Web Client
/ Web Applications / Web Notification / Web Events
/ Style / Synchronized Multimedia / SYMM /
Video in the Web Activity / Media Annotations /
Media Fragments / Timed Text / XForms / Fonts / Web Testing
Technology and Society Domain – Web上の政策的か題意取り組む支援技術の提供
Semantic Web / eGovernment
/ Government Linked Data / Patent Policy / Patents and
Standards / Policy Languages / Tracking
Protection / Privacy / XML Security / Web Application
Security / Web Security / Semantic Web / OWL /
SPARQL / Rule Interchange Format / RDF
Web Applications / Semantic Web Coordination /
Semantic Web Health Care and Life Sciences
/ Semantic Web / RDB2RDF / RDF / Provenance /
Web Services Coordination / SOAP-JMS /
Web Services Policy / Web Services Resource
Access /
Ubiquitous Web Domain – 誰もがいつどこでもいかなる機器からでも利用出来るWebの実現
Mobile Web For Social Development (MW4D) /
Multimodal Interaction / Device APIs /
Geolocation / Points of Interest / Web Real-Time Communications /
Model-Based User
Interfaces / Voice Browser / Efficient XML
Interchange / XML Coordination / XML Core / SML
Processing Model / XML Query / SML Schema /
XSLT / XML Print and Page Layout / Web and
TV
Web Accessibility Initiative Domain – 障害を持つ人を含む全ての人が使いやすいWebの実現
Education and Outreach / Research and
Development / WAI Coordination / WAI / Authoring
Tool Accessibility Guidelines / Evaluation and
Repair Tools / Protects and Formats / User Agent
Accessibility Guidelines / Web Content Accessbility Guidelines /
Incubator,
TAG, AB –領域横断的な活動として、萌芽的な技術を対象に迅速な意見集約を目的
Open Web Education Alliance / Decisions and
Decision-Making / Audio / Media Analysis
Management Interface / Technical Architecture /
Advisory Board
各領域は取り扱う技術ごとにアクティビティと呼ばれる活動に細分化されます。各活動は、仕様を策定する1つ以上のWGから構成され、策定作業を行わず、議論を目的とした検討部会(IG)や、部会間の調整を行う調整部会(CG)が含まれる事もあります。またWG同様、各活動の方針は活動声明で明確に規定されます。なお、各領域には領域責任者が、各活動には活動責任者が、それぞれW3Cスタッフから配置され、作業を主導、監督します。
一般にWGは週に1、2回の電話会議と、半年に一度実際に顔を合わせる対面会議を通じ、策定作業を進めます。日常的な議論や情報交換にはメーリングリストが、情報の蓄積や閲覧にはWebが用いられます。勿論策定された仕様もWeb上に公開されます。
●仕様策定手続き
W3Cでは、すべてのWeb利用者に対する責任の所在を明確にする為に、どのように作業が開始、実施され、レビューされて完了されるかを、W3Cプロセスドキュメントにおいて規定しています。
各WGによって策定される技術仕様や指針は、レビューに基づいて改善されます。WGは、会員組織だけでなく、一般の開発者コミュニティに対しても直接レビューを依頼し、会員以外からの意見に対しても会員からの意見同様に対応します。
W3Cでは、次の6つの段階に分けて技術仕様を公開し、策定してゆきます。各段階ではそれぞれレビューが行われ、仕様が確定されます。
公開草案初版 (First Public Working
Draft)
仕様の策定において最初に公開される原案で、標準化に向けた策定作業が開始された事をW3C
内外に告知する役割を担います。特に合意や技術的な質は要求されませんが、特許関連の調査
期間が設定されます。
草案 (Working Draft)
公開草案初版以降、最終草案までの間に公開される更新版です。他の段階から差し戻されてく
る場合もあります。なお、必ずしも全ての草案が勧告になるとは限りません。
最終草案 (Last Call Working Draft)
最終段階の草案です。技術的な検討に基づき、仕様の基本部分が確定されます。通常3週間のレ
ビュー期間が設定され、用件を満たせば、勧告候補若しくは勧告案に進みます。逆に草案に差
し戻される場合もあります。
勧告候補 (Candidate
Recommendation)
仕様が要求を満たしているか、広く一般に実装を呼びかけ、実装および相互運用試験を行いま
す。用件を満たせば勧告案に進み、そうでなければ、草案に差し戻される場合もあります。
勧告案 (Proposed Recommendation)
W3C会員全体によるレビューが実施されます。レビュー期間は最低でも4週間設定されます。会
員からの合意が得られない場合は、勧告候補または草案に差し戻されます。
勧告 (Recommendation)
W3C会員によるレビューを経た後、技術統括責任者のTim
Bernars-Leeの承諾を得て、勧告とし
て公開されます。
原則として一度勧告になった仕様の変更は行われませんが、間違いなどを修正する為に勧告修正案(Proposed Edited Recommendation)が公開される事があります。この場合もレビューと合意に基づく手続きを経て、更新版となる勧告が公開される事があります。なお新たに昨日を追加したり既存の機能を修正したり更新したりする場合は、新しい仕様として策定し直す事になります。
この他、仕様策定手続きには含まれないW3C技術文書として、WG Note、スタッフ提案 (Team Submission)、会員提案 (Member Submission)があります。WG NoteはWGによってまとめられた技術的なアイデアで、勧告の運用に関するものなどがあります。スタッフ提案はW3Cのスタッフによって提案された技術的なアイデアで、勧告を策定する上での問題点やそれに対する解決案、あるいは新しい技術分野に対する提案など、内容は多岐に渡ります。会員提案はW3C会員によって提出された技術仕様や技術提案で、新たな技術仕様策定の叩き台になる場合もあります。なお会員提案は一定の条件を満たす必要があります。
●公開メーリングリスト
W3Cの仕様策定に関する議論は、基本的に公開メーリングリストで行われており、以下のそれぞれ3グループに属する方々により直接議論を交わし、必要な仕様改善を行っております。
1.一般の技術者
2.会員企業様の技術者
3.Tim Berners-Leeを含めたW3Cチームスタッフ
以下のW3Cグループにつきましては,公開メーリングリストがあり、会員ご加入手続きが完了する以前に(=例えば今すぐ)ご参加いただくことができます。メーリングリストの登録方法等詳細については、各IGのページをご覧下さい。
1. HTML5 IG JP
ホームページ: http://www.w3.org/html/ig/jp/Overview.ja.html
メーリングリスト: public-html-ig-jp@w3.org
2. Web and TV IG
ホームページ: http://www.w3.org/2011/webtv/Overview.html (英語)
メーリングリスト: public-web-and-tv@w3.org
3. SVG IG Japan
ホームページ: http://www.w3.org/Graphics/SVG/IG/wiki/Japan
メーリングリスト: public-svg-ig-jp@w3.org
●よくあるご質問
1.年会費はいくらですか。
年間の総収入が57.5億円以上の営利組織の場合はFull会員として740万円となっております。
Affiliate会員は840,000円です。以下3点の条件のいずれかを満たす事により該当します。
◆非営利組織
◆政府機関およびその関連機関
◆年商5,750,000,000円(57.5億円)以下
2.申込から加盟手続き終了までにかかる所用期間はどれくらいですか。
一週間程度とお考え下さい。まれに、慶應義塾大学SFC研究所所長が不在の場合に、承認の
署名完了までお時間をいただく場合がございますが、その時には、あらかじめご連絡を申し
上げます。
3.W3Cに入会するメリットとは?
技術仕様の策定や新たな技術提案が行える作業部会や研究会などへの参加。
◆会員専用のWebページやメーリングリストを通じた仕様案などの最新情報を入手できる。
◆研究員の派遣を含む人的、技術的交流(W3C訪問研究員プログラム)。
◆W3Cの活動に対する戦略的な方向付けに参与できる。
◆W3Cを通じた広報活動だけでなく、W3C会員同士の連携を活用した、様々なビジネス上の
相乗効果を期待できる。
◆活動を通して、各社の今後のビジネス戦略を知る機会がある
◆最新Web技術への対応方針として「全てのブラウザが実装してから後追いする方法論も考
えられるが、それでは競争力がなくなる。最新の機能に対応するためにもW3C会員として
参加する事が重要である。
◆標準仕様に仕様追加するには、独自拡張路線を推進するよりも、短期的には仕様策定や調
整の手間と時間が必要になるが、最終的には会社単位で見ても、コミュニティ全体で見て
も、開発コストは劇的に下がる。
◆サービスベンダとして標準技術ベースで取り組むことにより、明確に規定された国際標
準一つを参照する(若しくはベンダに参照させる)ことで開発をスムーズに行う事が可能
となる。
などが挙げられます。
●慶應義塾大学の役割
W3C/慶應義塾大学 (W3C/Keio)は、日本およびW3C事務局の置かれている韓国を含む東アジア地区を担当するW3C運営ホストとして、1996年9月に神奈川県藤沢市の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) 内併設の慶應義塾大学SFC研究所に設置されました。現在、村井純 (W3C
Associate Chair for Asia、慶應義塾大学環境情報学部学部長、教授)、一色正男 (慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授、W3C/Keioサイトマネージャ)をはじめとする計7名がW3Cスタッフとして活動しています。
W3C/Keioではスタッフによる講演会の開催や、講演者の派遣、或いは様々なイベントへの参加を通して広く一般に向けたW3C技術の普及、広報活動を展開しています。
W3C/Keioがホストをしている日本と韓国からは、W3C会員の約1割近くに相当する30を超える組織が参加しています。日本の最先端技術を国際標準化するためにも、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。
World
Wide Web Consortium http://www.w3.org/
慶應義塾大学 SFC研究所 W3C Tel: 0466-49-1170
〒252-0882 神奈川県藤沢市遠藤5322 Fax: 0466-49-1171
mailto: keio-contact@w3.org