W3C

XML 複合文書の可能性と課題

PAGE2005 グラフィックス・トラック
D5 XML文書技術の新展開

2005年2月4日(金)

World Wide Web Consortium (W3C)
HTML Activity Lead

石川 雅康 <mimasa@w3.org>

http://www.w3.org/2005/Talks/0204-page-cdf/

要旨

XMLに基づく技術はさまざまな分野への普及が進んでいるが,実際には単体利用が多く, XMLが本来兼ね備えている複数のマークアップ言語を組み合わせて利用する環境は,整備されていない。 そこでW3CではさまざまなXMLベースのマークアップ言語を組み合わせて利用する「XML複合文書」の標準化活動を開始し,解決すべき課題に取り組んでいる。

W3C の概要

XML 複合文書とは

複数の XML ボキャブラリ (XHTML, MathML, SVG など) が混在した文書

W3C では便宜上 Compound Document Format (CDF) と呼ぶ

HTML と複合文書(1) 〜1990年代初頭

初期の HTML はごく簡単なハイパーテキストの記述を目的としていた; 当初は画像を埋め込むことすらできなかった

Tim Berners-Lee 作のブラウザ/エディタのスクリーンショット

HTML と複合文書(2) 〜1990年代中盤

画像のインライン表示
1993年に発表された NCSA Mosaicimg 要素による GIF 画像のインライン表示をサポート、Web が一気にポピュラーに; HTML 2.0 で正式サポート
Java アプレットの埋め込み
Java アプレットを埋め込むための applet 要素が登場、HTML 3.2 で正式サポート
汎用のオブジェクト埋め込み
HTML 4.0 で汎用のオブジェクト埋め込み要素 object を採用

HTML と複合文書(3) 〜1990年代末期

HTML 仕様の肥大化
何でもかんでも HTML に盛り込み続けたため、仕様が肥大化しどんどん複雑になってしまった
XML の登場
1998年2月に XML 1.0 が W3C 勧告となり、HTML 以外にも XML で記述される様々なボキャブラリが登場してきた (例: MathML)

むやみに HTML を拡張するのではなく、XML を基盤として様々なボキャブラリを組み合わせる ⇒ HTMLXML 複合文書の一要素 (XHTML) に

HTML Web”から“XML Web”へ

初期の Web から明日の Web へ

XML 複合文書」を構成するボキャブラリ群

XML 複合文書の実現方法(1)

「参照」による複合文書 (Compound Document by Reference; CDR)

XHTMLobjectSVGforeignObjectSMILメディアオブジェクト要素群のように、外部のリソースを URI で参照することで複数のボキャブラリを組み合わせる

従来の HTML のやり方に近い; 比較的実現が容易

XML 複合文書の実現方法(2)

「埋め込み」による複合文書 (Compound Document by Inclusion; CDI)

XML 名前空間の仕組みを用いて複数のボキャブラリを直接混在させる

例:

W3C CDF アクティビティ

W3C CDF ワーキンググループ

解決すべき課題

XML 複合文書の本格的な標準化はまだ始まったばかり — 積極的な参加を!

参照 URI

World Wide Web Consortium (W3C)
http://www.w3.org/
W3C CDF アクティビティ
http://www.w3.org/2004/CDF/
W3C CDF ワーキンググループ憲章
http://www.w3.org/2004/CDF/admin/charter
公開メーリングリスト (public-cdf@w3.org) アーカイブ
http://lists.w3.org/Archives/Public/public-cdf/